正義とはなにか…至高のイヤミスドラマ『絶対正義』

2019年に東海テレビ【大人の土ドラ】枠で放送されたドラマ『絶対正義』。

こちら、おそらくイヤミス※と呼ばれるジャンルものですが、ものすごく完成度が高いんですよ…。

同じくイヤミス好きの方でまだ観ていない方がいましたら是非ともオススメしたいドラマ『絶対正義』のあらすじと魅力をまとめてみたいと思います。

30秒でわかる『絶対正義』

正義こそがすべて……法律のみを信じて生きる高規範子。決して間違いを侵さず、人の過ちも絶対に許さない。その生き様は常軌を逸するものだった。

高校卒業から15年、当時の友達グループであった同級生４人は範子と再会する。それが恐ろしい運命の幕開けとは知らずに…。

それぞれの人生を送る４人に対し、「正義」を振りかざし異常な程の介入を続ける範子。精神的に追い詰められた４人は、ついに範子を殺してしまうが…！！

「正義」に取り憑かれた主人公

この物語の主軸となるのは『正義』に取り憑かれた女、高規範子の実践する行き過ぎた正義。

献身的な範子に最初は感謝していた友人達も、次第にその容赦ないやり口、さらには正義の道を踏み外した友人自身にまで牙を向く異常さに、やがて恐怖心を抱きます。

「私、なにか間違ったこと言ってる？」

人を徹底的に追い詰め、ここぞという場面で声高に叫ばれるこの台詞。その場にいる誰もが黙るしかありません。

正しさに囚われた範子自身の歪みが、この一言に凝縮されているようです…。

そうやって正義の鉄槌を振りかざしてはエクスタシーを感じる表情を見せる猟奇的な範子。今でも思い出しただけで背筋がゾワッ…。

追い詰められた女たち

「私達は家族」。高校時代、転校してきた範子にそう言ってしまったばかりに、15年の時を経ても粘着されてしまうはめになった４人。

４人の運命は、範子によって思いもかけない方向へと狂わされていきます…。

• 夫が失業しバイトを掛け持ちする日々に疲弊する一児の母 由美子
• 妻子ある演出家との不倫関係を続けている、女優の麗香
• 夫と共にインターナショナルスクールを経営しながらも人知れず不妊に悩む理穂
• 独立し虎視眈々と売れる機会を狙う、ノンフィクション作家の和樹

田中みな実さんや厚切りジェイソンさんなど、意外な方が好演されているのもすごいところ。

特にアナウンサーの田中みな実さんがこんな迫真の演技をされるとは…！！と驚きました。

主演の山口紗弥加さん、友人役の美村里江さん（旧名ミムラさん）・片瀬那奈さん・桜井ユキさんにまったく引けを取らない田中みな実さんの演技、ぜひとも実際に観て頂きたいです。

異常さを引き立てる巧みな演出

クオリティの高いイヤミスドラマに欠かせない要素のひとつが、観る者の不安をかきたてる音の演出。

このドラマでも奈落の底を表現したかのようなピアノ楽曲が流れるのですが、これも一聴の価値あり。

画面に文字が表示されたり、登場人物の目元を隠す目線を載せたりするなどの独特の映像表現がされているのもこのドラマの特徴です。

恐怖心、そして好奇心をそそる絶妙な演出です…思わずドラマの世界観に引き込まれてゆきます。

いったい「正義」とはなんなのか

“一億総クレーマー社会”とも言われている現代社会。自分の定める“正義”の範疇から外れた者をＳＮＳ等で徹底的に叩く、必要以上に“正しさ”“正義”を求める時代。

そんな時代のゆがみが生み出したかつてない正義のヒロインは、救いの天使か…すべてを壊す悪魔なのか…

『絶対正義』公式サイトより

つい「友達なら多めに見てあげるべきでは…？？」と思ってしまっては「うーーん、たしかに罪ではあるんだけど…」と葛藤したりと、頭を抱えたくなる展開の連続。

大切な友人が少しでも道を踏み外したら、それを指摘し正してあげるのが愛だと信じて疑わない範子。そして、その有無を言わさない「正義」の横暴さに恐怖し範子を遠ざけていく友人達。

人間だれしも善か悪かでは割り切れない矛盾を抱えて生きるものだと思うのですが…いつだって完璧な正しさは最優先されるべきなのでしょうか？

観る者も当事者の一人として「正しさとはなにか」を問われていく、そんな物語です。

ドラマ『絶対正義』を観るには？

大人の土ドラ『絶対正義』のアーカイブは、今でも一部の動画配信サービスで観ることができます。

今のところDVDやBlu-Rayの発売はないようでした。手元に置いておきたいぐらい素晴らしい作品だったので、ちょっと残念！

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